乳腺疾患の症状は自分で見て触って気付くこともよくあります。下記のような症状、項目に該当するかたはご相談ください。
- 胸にしこりを感じる。あるいはしこりかどうかわからないが、なんとなく気になる
- わきの下にしこりがある
- 乳房の皮膚にへこんでいる、ひきつれているところがある
- 乳房の皮膚が赤くなっている
- 生理前ではないのに乳房に違和感、痛み、張り感などがある
- また、わきの下のほうまで違和感や痛みがある
- 乳頭から赤色や褐色の分泌液が出る
- 乳頭がただれている
- 他施設の健診や自治体の健診で要精密検査となった
- 所見があり、心配がないと言われたが確認して欲しい方
痛み・はれが気になる患者様
乳房の痛みを心配される方は多くいらっしゃいます。生理中の乳房が張った様な痛みの場合は、一時的な女性ホルモンのバランスよる痛みである場合が多いです。その他、生理周期と関係なく痛みが生じることもあります。
こういった痛みの多くは治療を必要としないケースが多いですが、その不安を解消するためにも一度しっかりと診察することをお勧めいたします。
しこりがきになる患者様
触診・マンモグラフィ・超音波検査でしこりなどが見つかっても、必ずしも乳がんであるとは限りません。良性のしこりの可能性もあります。診断のためには疑わしい部位の組織を一部顕微鏡で調べる細胞診や組織診(針生検)などの検査が必要となります。当院では、湘南記念病院と連携して乳がん検診や診断を行っております。
赤み・ほてりがきになる患者様へ
乳房が赤くはれる場合は、乳腺炎を起こしている可能性が考えられます。
原因は、乳汁のうっ滞(授乳期)が考えられます。陥没乳頭がある場合は細菌感染。膿瘍(うみのたまり)を要因とすることもあります。
稀に乳がん(炎症性乳がん)による症状としてみられるケースもありますので、気になる患者様はご相談ください。
乳頭からの分泌が気になる患者様へ
乳房は、小葉で乳汁を作り、乳管で乳汁を乳頭まで運びます。その乳管から「どのような分泌物が出るか」、「いくつの乳管から分泌がみられるか」などにより、良性・悪性の診断を行います。
ー 分泌物の色【無色・白色・暗赤色(血性)】などがあります
- 無色:乳がんとは関連性が低い。
- 白色:乳汁を作る機能によるもの。授乳中でなくとも、ホルモンバランスで乳汁は作られています。ただし、乳汁の分泌が多い場合は、他の病気との関連性が考えられますので、血中のホルモン値(プロラクチン濃度)の測定などをする場合もあります。
- 暗赤色(血性):赤い血液・黒っぽい血液が乳頭から分泌される場合は注意が必要です。乳がんである可能性がありますので、出てきた乳頭分泌液を顕微鏡で調べる捺印細胞診を必要とします。
ー その他
複数の乳管から分泌物が認められる場合(多孔性)は、ほとんどのケースで心配いりません。一つの乳管から分泌物が認められる場合(単孔性)は、責任乳管が存在することになり、何らかの異常があると考えられますので、針生検(組織診)など精査を必要とします。
乳頭のただれが気になる患者様へ
乳頭・乳輪部にも湿疹やただれができることがあります。ただれが治らない、かさぶたができて再びただれを繰り返す、この様な症状が続く場合は早期乳がんの可能性があります。気になる患者様はご相談ください。
授乳中の乳腺炎
授乳中の乳腺炎は、出産後6ヶ月までが最も頻度が高く、うつ乳(乳腺炎になりかけの状態)から始まります。乳管の閉塞後、腺房内に乳汁がたまり【痛みのあるしこり】になります。多くのお母さん(約3割程度)が経験していると思いますが、閉塞が改善されれば症状も治まります。基本的には授乳を続け、授乳リズム・食生活に注意することで自然に治ります。一方、不注意が続くと乳腺炎へ進行しますので、休養を取りながら対処することが大切です。
男性の乳房トラブル
男性にも乳腺は存在するので乳房に腫瘍触知、疼痛や圧痛を感じることがあります。女性化乳房は、男性の乳腺組織が年齢を問わず様々な程度に発達した良性疾患で思春期と高齢期に多く認められ、通常可逆性です。ただごく稀に男性乳癌のこともありますので男性の方でも当クリニックにご相談ください。当クリニックでは待合室は耳鼻咽喉科や皮膚科の患者様と同じですから乳腺外科は女性ばかりで受診しづらいと思っている方でも安心です。